« LEGO MINDSTORMで遊ぶ (序章) (再録) | トップページ | 鬱病(36) レスキューレメディが気になる »

鬱病(35) 心と体の遊離

 この病気で 厄介なことはたくさんある。まず第一に外見上は健康な人とそれほど変わらないということだ。つまりサラリーマンなら毎日会社をサボっている様に見えるし、 主婦なら家事ができないダメ主婦という風に見える。これは病気ではない人の中にもそういう人たちが存在する(そして彼等はそれが当然と思っている。1)) から、同族として認識されることが問題なのだ。いや、べつに誰もがきちんと仕事なり家事なりをこなさなければいけないという訳ではないのだけれども、やっ ぱり人並みにできる(そしてできるように見える)方がいいだろう。第二に重篤でなければ不眠や挙動不審などの他人から見てもおかしいとわかる症状以外はほ とんど健康な人と変わらないということだ。(第一の問題点の裏返しとも言える。すなわち表面上はわからないということ。)このことが要らぬ誤解を招いたり もする。見た目はあまり変わらなくても、罹患している本人の頭のなかではある種の恐慌状態だったり、そこから生まれる絶望や不安そして焦燥といった気持ち が普通の感覚の何倍も強いのだ。だからその一端として奇異な言動や行動が現れるわけで、言うまでもなくその最終形は自傷や自殺となる。第三に(これは鬱病 の人の全員に言えることではないかもしれないが)罹患している人たちは真面目で几帳面で、ある意味では神経質とも言える性格の持ち主が多いということだ。 ただし誤解がないように言っておくけど、そういった性格にも程度問題というものがある。几帳面だから病気になる訳じゃないし、病気になった人全員が真面目 かというとそうとも限らない。ただ、鬱病になる原因として、その人が体験するある局面について自分自身の中で深く考えすぎて、一種の自閉状態が精神のスト レスとなって肉体の症状として発現するんじゃないかなぁ、と思うのだ。これはストレスを内側に発散するような感覚で、仕事などがうまく進まない原因を自分 自身の努力不足などと悩み、そのストレスを処理するために自分を攻め立ててしまうのだ。これが悪循環となって気がついた時には精神と肉体とのバランスを崩 してしまう。たとえば、精神病院で毎回同じ顔ぶれの患者さんに会う(交流はないけど)と、「あぁ、この人は鬱病かなぁ…。」と感じることがある。(プレコックス感と かじゃないですよ。)夫婦で来ていてどちらが患者かわからないような場合も同様だし、一人であっても表情を見るとどこか深い考えを持っているような顔をし ていたりする。まぁ、精神科の外来で他の患者さんの中には挙動や言動や容姿があからさまにおかしいというのもあるから。そういう意味では「鬱病かなぁ。」 というのも考えすぎていて疑問なのだけれど。(そして自分が言うのももっとおかしい。)

Confuedsalaryman

 いつも思うのが心と体がつながっているということだ。互い(心と体)の刺激が双方向に伝搬して影響を及ぼすのは、当然だとも言えるが逆に不思議なことだ とも思う。脳内における電気刺激に反応する生化学反応の発現だ、と言ってしまえばそれまでだが、そうだとしても心は定量化したりモデル化したりして外に取 り出すことはできないと思うからだ。感じたり考えたり記憶していることが、自分の体の調子に反映されるという点は、何か脳(≒心)と体の遊離さえ感じるこ とがある。これは別に言い過ぎだとか考え過ぎだとかいうのではなくて、ちょっと考えたらわかることだ。自分の不甲斐なさを省みたり、何かの拍子に緊張して しまったりすると、途端に体調が悪くなる。短い時間で急速に悪くなるパターンもあれば、何日も続く頭痛や疲労感などもある。共通して精神衛生状態が良くな いということが挙げられるが、そんな自分の状態を振り返ったとき、果たして体調が悪いのは本当に心が原因なのかと疑ってしまうのだ。そしてそれを直したり 緩和したりするために薬を飲む。端的に言うと「薬で心を治す。」ということになる。これは精神科や心療内科の先生にしたら語弊があるといわれそうだけど、 外来で治療を受ける場合は体調管理と問診以外は、服薬と努力(自他による)に依存する割合が大きい。それはさておき、薬は脳神経に作用することまでは理解 できるが、果たしてそれが心まで届いているのだろうか?薬は心に効くか、ということになるとちょっと疑問になる。それよりも患者に合った気分転換(ただし タイミングや方法が非常に難しい。)を指導した方が余程「心のクスリ」になるのかもしれない。そう言ってしまうと矛盾しているようにも思うけど、どうにも 心と体の遊離感覚が拭い去れないでいる。

Depressiveinthedark

 現代のテクノロジーでは、肉体の相似形でよければエレクトロニクスで模倣することができるだろう。実際にチンパンジーにロボットハンドを接続したり、高 度な義肢などでは残存筋肉の電気パルスを内蔵のアクチュエータに伝送するよう組み込まれているものまである。また、パラリンピックに見られるような健常者 とほとんど変わらない運動能力や性能を有する義肢も開発されている。肉体への刺激は神経組織の電気信号に変換されて脳まで伝達され、次の行動に考えを巡ら せ瞬時に判断して筋肉に運動指令を送出しているわけだ。虐待などではその刺激が精神に深い傷跡を残して、後年にトラウマと いう精神障害として発現する。そうでなくても、いじめなどの見て分かる苦痛は伝搬するし影響されやすいという意味で、精神に深く関係しているんだなぁと思 う。他方、精神への刺激(これは肉体への刺激でも少なからず含まれるが)は目に見えにくいという点で、被験者がどのくらい苦痛に思っているかとか許容でき るのかといったことが良くわからない。トラウマ同様に精神的なストレスも蓄積されてやがて精神障害となるのだろう。昨今の自殺者や鬱病患者の増加は、よく 報道されているように社会システムの急激な変化に対応できない(僕のような)人たちが、自分の置かれた状況の中でなんとかもがいて脱出しようとしている状 況を定量的に見た結果なのかもしれない。もちろん自殺も鬱病も人によってその原因は千差万別だし、程度も違うから単純にひとくくりにして考えることは危険 だが、なにか共通するものがあることは確かなんじゃないかな?(確かなものが不明だ、というのも不思議な論理展開だけど。) ...うつ病記

|

« LEGO MINDSTORMで遊ぶ (序章) (再録) | トップページ | 鬱病(36) レスキューレメディが気になる »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/189978/45933312

この記事へのトラックバック一覧です: 鬱病(35) 心と体の遊離:

« LEGO MINDSTORMで遊ぶ (序章) (再録) | トップページ | 鬱病(36) レスキューレメディが気になる »