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鬱病(4) リハビリ

※鬱病になって休職することになった。ここに自分の闘病記録を思い出して書き残したいと思う。

自分が通院している心療内科の先生は、それほど時間をかけてカウンセリングする診察はしていないが、自分の症状や不安など、気になっていることはすべて笑顔で受け止めてくれる。ちなみに、診察には奥さんも同席している。鬱病は家族の理解が必要であるし、症状が重い場合は患者自身の判断能力が極度に低下しているからである。だから、奥さんが気になっていることも先生に打ち明けたし、先生も「奥さんは何か気になることがありますか?」といつも訊ねてくれた。

一度、同じ鬱病の患者の集まるサークルのパンフレットをさりげなく見せてくれたこともあったが、薬の効果などもあり、休息と周囲の人の理解のお陰で快方へ向かうことができた。発病してから一ヶ月ほど経過した頃、再びアイデンティティとは何かを探すため、図書館や本屋に通った。最初は心理学や哲学からその答えを求めようとしたのだが、思考能力が低下していることもあり、あまり難しい本を読む気になれずに断念した。そして宗教にもその答えがあるのではないかと考え、とりあえず仏教書を読んでみることにした。

自分が読んだのはテーラワーダ仏教と呼ばれる原始仏教である。テレビを見ていたらこの仏教協会の僧侶が面白いことを言っていたので、名前を覚えていたのだ。本屋にいったら、その僧侶の著書がたくさん存在することを知った。
原始仏教は上座部仏教あるいは小乗仏教と呼ばれることもある。日本でポピュラーな大乗仏教とは区別(というか差別?)されているが、これは大きな間違いである、と思う。なぜなら、仏教本来の目的は「生きとし生けるものが幸福であるための実践心理学」であるからだ。小乗仏教では出家によって解脱すること(=苦しみの輪廻から抜け出すこと)を求めているが、お釈迦様は在家であれ出家であれ目的は同じだと説いているからである。在家であれば、解脱だけでなく家族・社会・世界の中でそれを実践する、ということだ。一部の宗派が出家しなければ悟りを得られない、と説いたことが差別の原因だ。
解脱とか出家とか書くと某狂信的教団を連想するが、キリスト教であれ、イスラム教であれ、仏教であれ、老若男女を問わず出家して寺院や教会で宗教に帰依しながら生活する人は多く存在する。ましてや自分だって出家する気はないし、テーラワーダ仏教でも出家を推奨しているわけではないと思う。さらにテーラワーダ仏教が100%正しいという訳でもないと感じている。自分にとってその僧侶の説法がとても論理的でわかりやすかった、それまで知らなかった仏教のエッセンスを学ぶことができた、ただそれだけである。この僧侶の著書を5~6冊読んだだろうか?読んでいる最中は判断力に乏しいこともあり、かなり影響を受けたのも事実だが、今となってはかなり自分流に納得できている。だからこそ、症状も快方へ向かっている、と信じている。

自分の仏教解釈は、仏教の有名な四法印 「諸行無常、諸法無我、涅槃寂静、一切皆苦」  そのままである。解釈といっても仏教宗派によって微妙に異なるが、要は「常に変化するこの世の中で、生きていることはそれだけで苦しく、幸福であり続けることは難しいのだから、あらゆる物事に執着しないで、自己実現に精進するのだ。」ということであろう(本当は一言であらわせるようなものではないけれど…。)自分にとってその時には目からウロコで、なるほどと感心した。それまで自分の中にあったちっぽけな自負や執着が、とてもバカバカしいものだととらえる事ができた。だからといってすぐに病気が治るわけでもないし、いろいろな欲求が一瞬にして無くなるわけではないけど、今まで解っているようで実はあまり深く理解していなかったことに納得できたような気がした。

テーラワーダ仏教の本以外にも、日蓮宗分派の機関紙や開祖の著書を読んだり、信者の方の話を聞く機会があった。これについてもたくさんの発見があり、勉強させてもらうことができた。いろいろと学んでいくにつれて、仏教以外のいろいろな宗教で、その教義が過激でオカルトチックなものでなく、昔から人々に信仰されてきたものであれば、どんなものでもよかったのだと思う。だからテーラワーダ仏教教会に入会するとか、そういう気は今のところないけれど、これからもこの僧侶の本は繰り返し読みたいと思う。

※アイデンティティ(自己同一性あるいは自我同一性と訳される。自分は何者であり、何をなすべきかという個人の心の中に保持される概念)

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